あぁ老いてしまったのか
街の中華で食事でもと言って、久しぶりに高等学校の同期数人で会うことにした。
田舎から出てきて東京で働いていたが、すでに皆リタイアしており、何十年も会っていないのだ。
中華食堂のある地下に降りて行って、広いホールを見渡すと、まばらに人の塊がある。
最初に右手奥に老人の集団がいたのを見過ごして、知っている顔を探したが見つけることができないでいた。
視力もだいぶ落ちているし、照明を落としている中では、よく見えていないこともあり、階段下でウロウロしていた。。
すると白髪の集団から私に向かって声をかけられた。
「よくきたね。しばらくだなぁ、こっちきて座れよ」
やっと気付いた私は、彼らをまじまじと見た。
一人ひとりの昔の面影が徐々に見えてきた。
<それからしばらく経ったある日のこと>
地下鉄に乗り込んだら、見知らぬ白髪の高齢者が私に向かっておいでおいでと手招きをしてる。 なんの用事かと近づいたら、「この席にどうぞ」という。
丁寧にお断りしたが、些かショックだった。
あの見知らぬ白髪の高齢者から見て、私が保護するべき高齢者に見えたんだ。
それは、地下鉄車両にいた群衆の中で飛び抜けて高齢の弱者に見えたんだと思うと、さらに落ち込んだ。