Q&A抜粋

Q7 基準省令第2条に関して、賃貸借契約による学生向けアパートで家賃や共益費以外の
料金は受領していないが、家主が、学生の他にホームレス等生活困窮者にも声かけ等
して入居させている。この場合、無料低額宿泊所として届出の対象となるか。
A 生計困難者に声かけ等をしている場合であっても、生計困難者以外も利用可能な住宅
については、基準省令第2条第1号イには該当しない。
また、居室の利用契約が賃
貸借契約であり、家賃(居室使用料)及び共益費以外の利用料を受領していないことか
ら、同号ロ及びハにも該当しないことから、無料低額宿泊所の届出の対象とはならない。

 

Q9 基準省令第2条第1号イの「生計困難者」は、解釈通知第1の1(1)で 「生活保護法
(昭和 25 年法律第 144 号)第6条第2項に規定する要保護者及び これに準ずる低収
入であるために生計が困難である者」とされているが、条例において、その範囲を「要
保護者」のみに限定することは可能か。
A 基準省令第2条は、社会福祉法第2条第3項第8号に規定する「生計困難者のために、
無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる
事業」について、入念的にその対象範囲を定めたものであり、条例においてその範囲
を変更することは想定していない。 そのため、条例の制定に際して、事業の範囲を要
保護者に限定することは適当ではない。
なお、各事業者が、事業の実施に当たって、入居対象者を要保護者に限定することを
妨げるものではない。

 

Q11 基準省令第3条第3項に規定する「独立して日常生活を営むことができるか常に把
握しなければならない」とは、どの程度の頻度での状況把握が求められ ているのか。
外出先の把握等も含め、入居者の行動を常時把握しなければならないか。
A 基準省令第3条第3項に規定する「常に」とは、入居者の心身の状況に変化がないか、
生活上の課題等を抱えていないか等を、その時々で常に把握することを意図
している
ものであり、常時、入居者の生活について管理監督をする意図で規定したものではない。
したがって、入居者の行動等を逐一把握するのではなく、入居者のプライバシーを尊重
した上で、状態の把握等を行うことを求めているものである。

 

Q12 基準省令第3条第5項に規定する「地域との結びつきを重視した運営」の観点から、
条例において事業所開設に当たり地域説明会の開催を義務付けることは可能か。
A 地域からの理解や協力を得た上で事業を運営することが望ましいことから、事業所開設
に当たって地域説明会の実施について、条例において実施を義務付けることを妨げる
ものではない。ただし事業所開設の要件として地域の同意を必要とする法的根拠はなく
地域からの同意等を得られないことを理由として、事業所開設の届出を受理しないと
いった取扱いがなされることは適切ではないことから、その運用には十分に留意されたい。

 

Q13 例えば、合計 15 の部屋数がある3階建ての建物において、うち12 部屋を無料低額
宿泊所として届出を行い、残り3部屋を一般の賃貸アパートとして、活用することは
基準省令第5条(設備の専用)の規定に抵触しないものと解してよいか。その場合、建
物のうち、どの部屋を無料低額宿泊所とするのか予め定めずに届出を行い、実際に生計
困難者が入居した部屋を無料低額宿泊所として取り扱うことは可能か。
A 建物の一部について無料低額宿泊所として届け出た場合、当該届出を行った部分の設備
について専用であれば、基準省令第5条(設備の専用)の規定には抵触しない。
また、届出を行った部分の設備についても、共有スペースなどで、入居者に提供するサービスに
支障がない範囲において、他の用途で使用することは差し支えない。
ただし、届出時には、無料低額宿泊所として用いる各設備の範囲を特定する必要があり、
設問のように入居者の属性に応じて居室の範囲等が変更となる前提での届出は認めら
れない。
仮に、無料低額宿泊所として扱う居室の範囲を変更する場合には、その都度変更の届出
必要となる。
なお、建物の一部について無料低額宿泊所として届け出た場合であって も、無料低額宿
泊所の範囲外としている部分についても生計困難者を対象 として一体的に運営をして
いる実態がある場合には、当該部分も無料低額宿泊所の範囲とする届出内容の変更を行
うよう指導されたい。

 

Q15 社会福祉法第 68 条の6において準用する同法第 66 条に規定する「専任の管理者
は、基準省令第6条第1項に規定する施設長と同一の者と解してよいか。
A お見込みのとおり、社会福祉法に規定する管理者と、基準省令第6条第1項に規定する
施設長は同一の者として取り扱われたい。

 

Q20 基準省令第8条第2項に関して、消防法(昭和 23 年法律第 186 号)第8条第1項に
基づく防火管理者の配置や避難訓練等の実施に関する規定との関係を整理されたい。同
条に規定する防火対象物には該当しない無料低額宿泊所であっても避難訓練等を行わ
なければならないのか。アパート型で各戸が独立している建物においてはどうか。
A 消防法第8条第1項において、政令で定める防火対象物の管理権原者は、防火管理者を
定め、消防計画の策定、当該計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施等の業務を
行わせなければならないものとされている。
この政令で定める防火対象物については、消防法施行令(昭和 36 年政 令第 37 号)第1
条の2第3項に規定されており、例えば、同令別表第1 (5)項ロの「寄宿舎、下宿又は共
同住宅」については、収容人員が 50 人以上のもの、同別表第1(5)項イの「旅館、ホテ
ル、宿泊所その他これらに類するもの」については、収容人員が 30 人以上のものとさ
れてい る。
無料低額宿泊所のうち、上記の政令で定める防火対象物に該当するものについては、同令
第3条の2第2項に基づき「消火、通報及び避難の訓練」の実施が義務づけられており、
当該訓練を実施している場合は、基準省令第8条第2項に規定する訓練を実施したもの
とみなしてよいこととしている(解釈通知第7(4)。
基準省令第8条第2項に定める訓練については、消防法において避難訓練等の実施が義
務付けられていない施設においても行う必要があり、アパート型の建物の場合も同様である。
なお、避難訓練の実施については必ずしも一斉に行う必要があるものではなく、無料低
額宿泊所の設置形態等に応じた訓練が実施されていればよい。
また、無料低額宿泊所のうち、消防法施行規則(昭和 36 年自治省令第6号)第3条第10
項の規定が適用されるものについては、消火訓練及び避難訓練を年2回以上実施しなけ
ればならないので留意されたい(解釈通知第7(4)のなお書き)。

 

Q21 基準省令第9条第2項第1号に規定する「提供した具体的なサービスの内容等の記
録」とは、どのような内容について記録する必要があるか。また、記録の保存期間は同
項本文において「完結の日から五年間」となっているが、完結の日は当該無料低額宿泊
所を退居した日と考えてよいか。
A 入居者の入退居に関する記録、提供するサービスに係る契約書、状況把握の実施状況等
ある。また、食事を提供する場合は、食事提供の状況も含まれる。なお、状況把握に関す
る記録は入居者ごとの状況把握の実施の有無を、食事に関する記録は入居者ごとの食事
の提供の有無が分かるものを想定しており、入居者ごとに個別に記録を作成せず、一覧等
で整理されていても差し支えないものである。
当該記録の保存期間については、入居者台帳等の入居者の個別の記録については原則と
して当該入居者の退去日から5年間、状況把握や食事提供等の定期的に提供されるサー
ビスの記録については原則として提供後5年間
とする。ただし、サービスの提供により
賠償すべき事故が発生した場合等には、上記に関わらず、損害賠償等がなされたときか
ら5年間とす る。
なお、個別の事案で係争中の場合には、当該事案が解決した日を「完結の日」として取
り扱われたい。

 

Q28 基準省令第14条第1項に関して、居室の利用とそれ以外のサービスの利用につい
て、それぞれ契約を締結することとされているが、入居申込者が、居室の利用契約のみ
を希望する場合、それ以外のサービスの提供に係る契約は締結しないことは可能か。
A 各契約は、入居者と無料低額宿泊所が合意のもと締結されるものである。したがって、
双方が合意の上で居室の利用契約以外のサービスの提供に係る契約を締結しないこと
は可能
である。ただし、居室の利用契約以外のサービスの提供を行っている無料低額宿
泊所側に対して、居室の利用契約以外のサービスの利用を希望しない者への、居室の提
供を義務付けるものではない
ことから、入居申込に際しては、当該無料低額宿泊所にお
いて提供されるサービスの内容について十分説明の上で、契約を締結するよう事業者
に周知されたい。

 

Q29 基準省令第14条第3項に関して、契約期間ごとに意向確認をすることとなっている
が、1か月単位等で契約を締結している場合も、契約期間ごとの意向確認は必要か。ま
た、契約の自動更新は認められるか。
A 入居者の意向確認や関係機関との協議は、最低限、1年に一度機会が確保されていれば差
し支えない。なお、入居者個人の状況や事業所の意向 等により頻度を高く設定すること
を妨げるものではない。また、自動更新の規定自体を設けることは禁止しないが、入居
者への1年ごとの意向確認は行う必要があり、入居者の意思表示がなされていない状況
で、契約を自動更新することは認められない。。

 

Q32 基準省令第 15 条第1項の「心身の状況等の把握」について、無料低額宿泊所 が入居
者に対して入居時の健康診断等を求めることは可能か。可能な場合、入居時に生活保護
を受給していない、又は申請中の者に係る健康診断等の費用を、生活保護法(昭和25 年
法律第144号)第28条第1項に基づく検診命令として生活保護費から支弁することは可能か。
A 無料低額宿泊所への入居時に全員一律に健康診断の結果の提出を求めることは想定し
ていない
が、感染症の防止等、無料低額宿泊所の安全管理の面から、例えば、長期の路
上生活から入院を経ずに直接、無料低額宿泊所に入居する場合等について、必要に応じ
て結核の検診を求めることは差し支えない。その場合、被保護者については生活保護法
第28条第1項に基づく検診命令の利用を福祉事務所に求め、被保護者でない者であ
って、症状の自覚があるものについては、無料低額診療事業の利用を支援する等、 入
居者の経済的負担が生じないように配慮するよう事業者に周知されたい。

トップへ戻る