老害の人  内館牧子著   飛ばし読みメモ

自分は、実年齢よりずっと若くて、頭がしっかりしていて、分別がある。
その自信がある
そうでない老人を見ると、彼らをいたわったりさえする
そして心の中で「こうはなりたくねぇ。周りの若い人に負担と迷惑をかけるのだけは、絶対にヤだねえ」

 

80年 長い年月ではない。過ぎ去ってみれば、瞬く間のことに過ぎない

 

老人と若者は似ている。先がないから突っ走るか、先を考えずに突っ走るかの違いだ。

 

「教育」じゃなくて『今日行く』今日出かけて行くところが必要
「教養」じゃなくて『今日用』やるべき今日の用事が必要

 

江戸川乱歩 うつし世はゆめ 夜の夢こそがまこと
『自分たちが生きているこの世は、夢なんだ。夜の眠りで見る夢こそが、本当なんだ。』

 

「またあの母親と暮らせるんなら、若い時に戻ってもいいなぁ」
いたのにいなくなった母親。今ではいたのかどうかも夢のような母親。その遠い姿が浮かんだ。

 

「母さんって、ホントにいたのかな」
「わかんねな、今になるとな」
「ね。でも夢だったとしても、あの母さんの子でよかった。」
こんな話は、若い人の前では決してできない。
「うざい。老害」「あぁ、聞きたくない」
「お母さんが死んで何十年たつと思ってるのよ。このマザコンが」

 

老人の1日は、先のない人間の搾り出すような1日なのだ。

 

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