OECDの経済見通し
OECDは11月22日、最新の世界経済見通しを発表し、世界の経済成長率(実質GDP伸び率)を2022年に3.1%、2023年には2.2%と予測した。
前回の9月予測と比較して、2022年は0.1ポイントの上方修正、2023年は据え置いた(添付資料表参照)。OECDは世界経済の減速要因について「ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギーショックがインフレ圧力に拍車をかけ、信頼感と家計の購買力を奪い、世界中でリスクを増大させるため」と評した。
OECDは「OECDの中心シナリオでは、世界的な景気後退(リセッション)ではないが、2023年の世界経済は著しく鈍化する」と述べた。
また、2023年の世界経済成長率の4分の3はアジアの主要な新興国に依拠する半面、欧米諸国では景気が急激に低迷し、経済成長の不均衡が増すとした。
主要国では、2023年に英国(マイナス0.4%)が下方修正の結果、年間でマイナス成長に転じた。ロシアは2022年(マイナス3.9%)、2023年(マイナス5.6%)と2年連続でマイナス成長。2023年は1.1ポイントの下方修正となった。
米国、ユーロ圏では2023年にそれぞれ0.5%の予測となった。「高インフレの常態化やエネルギー価格高騰、家計所得の成長鈍化、金融の引き締めなどが成長を制限している」と指摘した。
インフレ率は依然として高水準だが、インフレ抑制とインフレ期待の固定化を目的とした各国の政策金利引き上げの効果が出始めていると指摘。
OECD加盟国平均では2022年の予測は9.4%。2023年は6.6%、2024年は5.1%で、全ての国でインフレ圧力緩和を見込む。
ただし、2023年はユーロ圏で6.8%とOECD平均より高く、ハンガリーやポーランドなどでは10%超、ドイツでは8%との予測。OECDは、インフレ率が高水準・広範囲に及ぶ国に対し、金融政策の継続的な引き締めが必要とした。
また、エネルギー市場の動向を今後の重大な下振れリスクの1つと指摘。
特に2023〜2024年の冬季における欧州のガス需要が懸念される。
エネルギー供給の多様化、エネルギー安全保障確保の観点から、クリーンエネルギー源、技術の導入・開発への投資加速が肝要とした。
2024年については、経済成長率を2.7%と予測し、今後2年間の世界経済は異常に不均衡かつ脆弱な見通しであることを強調した。