今月のニュースから

10月01日(木)介護のサービスコード、20年で14.3倍に増 算定なし加算100種類超 厚労省 簡素化検討
 介護保険制度がスタートしてからこれまでに、介護給付費のサービスコードが実に14.3倍へ増えていることが分かった。
 厚生労働省が9月30日、来年4月の介護報酬改定をめぐる協議を重ねている審議会で調査結果を公表した。事業所に算定されていない加算が多く存在することも報告。報酬体系の簡素化を図る具体策を検討していく構えをみせた。
 調査結果によると、サービスコードの数は2000年の発足時が1745だった。それが今年は2万4905(14.27倍)。居宅サービスは9.9倍へ、施設サービスは13.7倍へ、居宅介護支援は25.7倍へ膨らんだ。新たなサービス類型や加算の導入などが要因。

 主なサービスの加算の数を2000年と今年で比べると、以下のようになる。
○ 訪問介護:3種類→20種類
○ 通所介護:5種類→24種類
○ グループホーム:1種類→29種類
○ 特養:8種類→55種類
 過去1年の間に全く算定されていない加算は、全サービスで34種類、延べ114種類。過去1年の平均算定率が1%に満たない加算は、63種類、延べ222種類にのぼっている。一方、過去2年の平均算定率が80%を超える加算も16種類、延べ49種類あった。
 こうした調査結果を受けて委員からは、ほとんど算定されていない加算の見直し、廃止を求める声が相次いだ。多くの事業所が算定している加算について、基本報酬に包括化するよう促す意見も出た。サービスの質を向上させるという加算の趣旨を踏まえ、見直し、廃止は慎重に判断するようくぎを刺す委員もいた。    (介護ニュースjoint)

 

10月01日(木)厚労省、介護現場の押印・署名を効率化へ 重要事項説明書やケアプランなど焦点
 厚生労働省は来年度の介護報酬改定に向けて、事業所が利用者から同意を得る際の押印・署名を効率化する検討を進めていく。
 9月30日に開催した社会保障審議会・介護給付費分科会で明らかにした。重要事項説明書やケアプランなどのルール変更を俎上に載せる。「文書負担の軽減や手続きの効率化を一層推進していく」と説明した。
 介護現場の生産性向上は、人材確保がますます難しくなる今後さらに重要性を増していく。デジタル改革に力を入れる政府全体の方針にも符合する動き。今秋にも具体策が提案されるとみられる。どこまで踏み込んだ中身になるかが焦点だ。
 厚労省はこの日、これまでの議論のプロセスで寄せられた押印・署名に関する意見を紹介。「利用者・家族にも負担がかかっている」「初回だけで済むようにすべき」「電子署名、電子メール、SNSなどを活用した同意を認めて欲しい」といった声があると報告した。
 あわせて、今年度の「骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2020)」に、「書面・押印・対面を前提とした我が国の制度・慣行を見直し、実際に足を運ばなくても手続きできるリモート社会の実現を目指す」と書かれていることも指摘した。
 この日の会合では目立った異論は出ていない。ただ、利用者・家族が不利益を被ることのないようにとクギを刺す委員はいた。厚労省はこのほか、各種記録の事業所での保管についても効率化を図る構えをみせている。    (介護ニュースjoint)

 

10月08日(木)みとり加算の要件緩和も 21年春の介護報酬改定 厚労省検討
 2021年4月の介護報酬改定を巡り、厚生労働省は、有料老人ホームなど特定施設に入所する要介護者への介護サービスの「みとり介護加算」について、基準を緩和する検討に入った。9日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で提示する。
 昨年度の厚労省の研究によると、全国の有料老人ホームのうち、半年間でみとり実績のあったのは6割を超えたが、みとり介護加算を算定した施設は遅割に満たなかった。一方、みとりを受け入れていない施設では、夜間に看護職員がいない施設が6割を超えていた。これらを踏まえ、常勤看護師を夜間1人以上配置しなければ認められなかった特定施設のみとり介護加算について、厚労省は人員要件を緩和する方針を示す。
 また、昨年度の介護事業経営概況調査の結果によると、施設への通所や利用者の自宅への訪問、短期間の宿泊を組み合わせて利用できるサービス「小規模多機能型居宅介護」は利用者の平均要介護度が下がる傾向にあり、半数以上の施設が赤字だった。要介護1、2と要介護3以上との差が大きいことが要因とみられ、経営の安定化を図るため、厚労省は要介護度ごとの報酬設定の見直しを検討する方針案も提示する。    (毎日新聞)

 

10月08日(木)1-9月介護倒産は過去最多 新型コロナ破たんが加わり、年最多も更新へ
 2020年1-9月の「老人福祉・介護事業」倒産は94件(前年同期比10.5%増)で、介護保険法が施行された2000年以降、1-9月で最多だった2019年同期(85件)を上回り、最多を更新した。

 「老人福祉・介護事業」の新型コロナ関連破たんは3件にとどまった。ただ、無計画や未熟な経営を主因とする「放漫経営」が17件(前年同期比112.5%増)と倍増。新型コロナ感染拡大前から深刻な経営不振に陥っていた事業者に、コロナ禍が重くのしかかる格好となった。

 「三密」になりやすいデイサービスなどの「通所・短期入所介護事業」30件(同25.0%増)、「訪問介護事業」46件(同6.9%増)が増加した。いずれも小・零細事業者が大半を占め、人手不足による人件費上昇が負担となった構造的な問題を抱えた事業者の淘汰も目立つ。
 なお、2020年1-8月の「老人福祉・介護事業」休廃業・解散は、313件(同19.0%増)に達した。2019年同期(263件)を上回り、このペースで推移すると「老人福祉・介護事業」は、倒産と休廃業・解散による市場撤退が、初めて年間600件台に乗せる可能性も出てきた。

 国や金融機関などの新型コロナ支援で何とか踏みとどまり、介護事業を続ける小・零細事業者は多い。その一方で、先行きを見通せず休廃業・解散に踏み切る事業者も増えている。

 今後、本格的な高齢化社会を迎える前に、コロナ禍の支援効果の息切れから「老人福祉・介護事業」の倒産が加速することが危惧される。   ※ 本調査対象の「老人福祉・介護事業」は、有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業などを含む。
 「老人福祉・介護事業者」の2020年1-9月の倒産が、過去最多ペースで推移している。2019年までは、ヘルパー不足が深刻な「訪問介護」事業者の倒産が全体を押し上げていた。2020年に入ると、競争が激化している「通所・短期入所介護」事業者の倒産が急増し、「訪問介護」事業者の倒産も高止まりしている。  
 また、新型コロナウイルスも「老人福祉・介護事業者」に例外なく、不測の事態を招いた。人員不足、利用者の減少などに加え、予期せぬ感染防止対策を強いられ、経営環境の激変が新たな負担になった。東京商工リサーチが8月末から9月上旬に実施したアンケート調査で、新型コロナの影響が継続していると回答した「老人福祉・介護事業者」は83.7%に達した。
 持続化給付金や雇用調整助成金などに加え、「老人福祉・介護」業界は在宅介護サービス事業者への助成金などの追加支援もあり、新型コロナ関連倒産は3件にとどまっている。
 だが、これらの支援策は一時的な緩和に過ぎず、足元では倒産に至らないまでも事業をやめる休廃業・解散が急増している。背景には、新型コロナで先行きが見通せず、事業継続を断念したケースが多い。今後、支援策で延命しながら過剰債務から抜け出せない事業者の倒産増加も懸念されている。
 新型コロナ前から「老人福祉・介護事業者」は見切り発車の起業が多く、小・零細事業者の倒産が目立った。また、種々の支援策に依存した事業者が多く、新型コロナの支援効果が薄まる年末以降、廃業か倒産に追い込まれる事業者が増える可能性も高い。
 本格的な高齢化社会を前に、福祉の現場にも新型コロナが暗い影を落としている。経営体力を喪失し、先行きを見通せない「老人福祉・介護事業者」の淘汰は、いつか今の若年層も巻き込むことになる。老人福祉・介護業界は、コロナ禍を奇貨として抜本的な業界の基盤整備が求められている。    (東京商工リサーチ)

 

10月13日(火)介護施設の面会制限緩和へ 厚労省、認知症影響を考慮
 厚生労働省は13日、新型コロナウイルス対策として介護施設での家族らの面会を制限している方針に関し、認知症の人に影響が出ているなどとして施設側の判断で面会制限を緩和できるようにすることを決めた。同日開かれた厚労省に助言する専門家組織に示し、了承された。後日、自治体向けに通知する。
 国は現在、特別養護老人ホームなど高齢者が入居する施設では、みとりなどの緊急時を除き、全国一律に面会を制限するよう求めている。
 今回の方針は(1)大規模な施設内感染の発生が減少している(2)活動自粛によって認知症の人らに影響が出た―ことを踏まえた。    (共同通信社)

 

10月14日(水)看多機の自立支援・重度化防止評価創設が視野に - 社保審・介護給付費分科会
 2021年度介護報酬改定に向けた個別サービスの議論が2巡目を迎え、具体化している。看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の議論では、褥瘡の治療など多職種協働による自立支援や重度化防止のケアに対する新たな評価の創設が視野に入った。
 看多機は、地域密着サービスの1つで通所・泊まり・訪問を行う小規模多機能型居宅介護に、訪問看護の機能を加えた複合型サービス。
 厚生労働省は9日の社会保障審議会・介護給付費分科会に、過去1年以内の看多機利用者の状態変化について、「褥瘡の治療又は改善ができた」(80.2%)、「排せつ行動の自立度が改善した」(67.1%)、「経口摂取が可能となった」(43.7%)などと事業者が回答した調査結果から、看多機による、自立支援・重度化防止への取り組みに実績が出ていることを示した。  特別養護老人ホームの場合は、同様の取り組みに対し「褥瘡マネジメント加算」(1月につき10単位、3月に1回を限度)、「排せつ支援加算」(1月につき100単位、支援開始から6月以内)、「栄養マネジメント加算」(1日につき14単位)などの評価を行っている。看多機で改善の効果が認められるケアについて、多職種が協働して計画的に行っている場合を評価する案を、厚労省が示した。
 これに対し委員から、基本報酬部分と加算のすみ分けや他サービスとの整合性を見て慎重に(江澤和彦・日本医師会常任理事)と注意を促す意見はあったが、評価の創設について反対の意見はなく、中重度の医療ニーズがある利用者の在宅限界を高めるサービスとして、評価の声が聞かれた。    (医療介護CBニュース)

 

10月16日(金)医療・介護従事者の発熱、検査に向け積極的対応を - 厚労省新型コロナ対策推進本部が事務連絡
 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は16日、医療・介護従事者の発熱などに関する事務連絡を、都道府県、保健所設置市、特別区に出した。重症化リスクの高い集団に接する医療・介護従事者で発熱などの症状を呈している人について、 「検査の実施に向け、とりわけ積極的な対応」を行うよう求めている。新型コロナウイルス感染症に係る行政検査に関しては、8月3日付の事務連絡で、新型コロナウイルス感染症の患者の多くの症例で発熱や呼吸器症状、頭痛、全身倦怠感などが見られることを取り上げ、こうした症状を呈している人に対し、検査の実施に向けた積極的な対応を行う必要性を挙げていた。
 今回の事務連絡では、秋冬に発熱患者が増えていくことが考えられるとし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のためには、「施設内感染対策の強化が重要」と説明。また、「高齢者は重症化しやすい人が多く、クラスターが発生した場合の影響が極めて大きくなる」といった見解を示し、発熱などに関する対応を管内の医療機関などに周知するよう求めている。    (医療介護CBニュース)

 

10月16日(金)厚労省、通所介護の入浴介助にテコ入れ 来年度から報酬見直しへ
 厚生労働省は来年4月の介護報酬改定で、通所介護の入浴サービスの質を更に高める施策を講じる構えだ。
 通所介護の入浴介助加算は50単位/日。文字通り利用者の入浴を介助することが要件だが、それがいわゆる“見守り的援助”であっても対象となる。自立を促す観点からなるべく本人の力に任せ、結果として直接的な身体介護を伴わないケース(例えば声掛けのみなど)でも取得可能だ。事業所ベースの算定率は、通所介護が94.5%、地域密着型通所介護が77.8%とかなり高い。
 「単に利用者の状態に応じた介助をするだけでなく、自宅での入浴回数の把握や個別機能訓練計画への位置付けなどを行っている事業所もある」
 厚労省は会合でそう指摘した。あわせて、衣服の着脱や立ち座り、浴槽またぎ、洗身など一連の動作についてそれぞれ目標を定めていたり、自宅に似せた環境を作って個浴に取り組んでいたりするところもあると紹介。サービスの質に違いが生じている現状を説明し、加算のテコ入れで底上げを図りたい考えを示した。
 これを受けて、特養の経営者で組織する全国老人福祉施設協議会の小泉立志理事は、「入浴は非常に重要。一番の目的として利用されている方も多い。事前に十分なアセスメントを行っている場合の評価を新設してはどうか」と提言。日本医師会の江澤和彦常任理事は、「今後は自宅での自立を目指した個浴を中心に評価していってはどうか」と述べた。このほか、現行の単位数を維持して要件を増やすこと、基本報酬に包括化することを求める委員もいた。厚労省は年内に具体策の方向性を固める予定。    (介護ニュースjoint)

 

10月19日(月)ショートステイ、長期利用減算を要支援者にも適用 厚労省検討
 厚生労働省は来年度の介護報酬改定に向けて、ショートステイの長期利用の減算を要支援の高齢者にも拡大する検討に入った。
 15日に開催した社会保障審議会・介護給付費分科会で、要介護の高齢者と同様に減算してはどうかと提案した。宿泊が30日を超え、自費の日を挟んで利用を続けるケースが対象となる。年内に方針を決定する。
 ショートステイの介護報酬は、連続で30日を超えると算定できない決まり。自費の日を挟んで再び給付を受けることは可能だが、そうすると1日あたり30単位の減算となる。長期利用の高齢者の場合、新規受け入れの際に必ず生じる特別な手間がかからなくて済むためだ。
 現行、この減算は要介護の高齢者にしか適用されない。特別な手間が生じない点は同じだとして、厚労省は要支援の高齢者も対象に含めたい意向を示した。
 会合では委員から目立った反対意見は出なかった。ただ、「なぜ要支援の高齢者まで長期利用になるのか。基本的に理由はないはず」「長期利用になる要因をしっかり把握・分析すべき」との声があがった。「ショートステイの長期利用で本入所を待つ“ウェイティング”の人が増えている」と指摘する委員もいた。
 こうした議論を受けて、厚労省の担当者は以下のようにコメントした。「本来、ショートステイは在宅生活を支えるためのサービス。やむを得ず入所と変わらないような形で利用されることもあるが、やはり『在宅生活を支える』という本来の趣旨が発揮されていくように誘導すべきものと考えている」。    (介護ニュースjoint)

 

10月20日(火)厚労省が次期介護報酬改定の基本視点示す 感染症や災害対策など5項目
 厚生労働省は2021年度介護報酬改定の基本的な視点の案を、9日の社会保障審議会介護給付費分科会に示した。感染症や災害が発生してもサービスが安定的に継続的に提供される体制づくりなど5項目を挙げた。
 分科会で3月から行ってきた議論や事業者団体ヒアリングを整理したもの。これらを改定の柱とし、各サービスの基本報酬や加算、運営基準などに落とし込んでいく。
 感染症や災害への対応は、発生時に備えた取り組みや発生時でもサービスを継続する取り組みを強化する。
 地域包括ケアシステムの推進では、団塊世代が後期高齢者となる25年と、高齢化のピークを迎える40年見据え、切れ目なくサービスを提供できる体制を目指す。具体的には在宅サービスの強化、医療と介護の連携、看み取とりや認知症への対応、都市・中山間地におけるサービスの確保などを挙げた。
 高齢者の自立支援・重度化防止も視点の一つ。サービスの質の評価、各種データの収集・活用とPDCA(計画→実行→評価→改善)サイクルを通じた科学的介護の推進、機能訓練・口腔・栄養の強化に取り組む。
 介護人材の確保は重要な視点と位置付けた。処遇改善や職場環境の改善のほか、ロボット・ICT(情報通信技術)の活用や運営基準の緩和を通じた業務効率化、文書負担の軽減などを盛り込んだ。
 制度発足20年で介護費用が膨らむ中、制度の持続可能性の確保も大事な視点で、サービスの適正化・重点化、報酬体系の簡素化が必要だとした。  視点の案について委員から賛同する意見が多く出た一方、「経営の大規模化も記載してほしい」「地域共生社会づくりの視点も入れるべき」といった注文もあった。 厚労省はこれらの意見などを踏まえて議論を詰め、年内にまとめる報告書に盛り込む。なお、同日はサービスごとの議論も始まり、具体的な検討事項が示された。    (福祉新聞)

 

10月22日(木)訪介の特定事業所加算、区分支給限度基準額の対象外へ - 社保審・介護給付費分科会
 厚生労働省は22日の社会保障審議会・介護給付費分科会に、訪問介護の「特定事業所加算」の見直しを提案した。同加算は、サービス費用の利用上限となる「区分支給限度基準額」の対象。これを超過することを回避するために、要件を満たしているが非算定という事業所があるため、対象外へと見直す見通し。
 サービスの質の高い事業所を積極的に評価する訪問介護の特定事業所加算は、ヘルパーの活動環境の整備や人材の質の確保、中重度者への対応を評価するもので、加算I-Wの4区分ある。算定率向上が望まれる加算の1つだが、要件を満たしているにもかかわらず非算定の事業所の割合は加算Iで41.1%などと高い。
 同加算の算定有無とその理由の調査結果では、利用者の区分支給限度基準額超過を回避するため、要件を満たしているにもかかわらず非算定の事業所は2.8%、同様の理由で下位の区分を算定している事業所は0.4%だった。
 一方で、同様にサービスの質を評価する「サービス提供体制強化加算」(訪問介護は対象外)では、区分支給限度基準額に含まない取り扱いとなっているため、事業所を適切に評価する観点から、厚労省は見直しを提案した。委員からも、区分支給限度基準額から外すべきなどの声があり、見直すことに反対はなかった。
 藤野裕子・日本介護福祉士会常任理事は、要件を満たしているなら積極的に加算を取る動きが必要だと述べて、要件を満たしていない場合は、算定要件のどの項目がネックになっているか、例えばヘルパー等からの報告の要件についてICT活用で満たせるなら、これを促す施策も必要などと意見した。    (医療介護CBニュース)

 

10月23日(金)就業者の5人に1人、医療福祉に 高齢人口ピークの40年 厚労白書
 厚生労働省は23日の閣議で、2020年版厚生労働白書を報告した。  高齢者人口がピークを迎える40年の医療福祉分野の就業者数は最大1070万人で、全就業者の約5人に1人を占めると推計。担い手不足に懸念を示し、先端技術の活用などによる現場の生産性向上や、少子化対策を推進する必要性を強調した。
 白書は、40年を見据えた今後の社会保障と働き方をテーマとした。40年時点で65歳の人のうち男性は4割が90歳まで、女性は2割が100歳まで生きると予測。介護分野を中心に利用者数が急増し、医療福祉分野の就業者数は、18年の826万人(全就業者の約8人に1人)から大幅に増えると見込んだ。
 その上で、こうした事態に備えた対策の必要性を強調。今後の社会保障制度の在り方にも触れ、財政の安定化を図ると同時に、サービスの効率化などにも取り組み、持続可能性を強化する重要性を指摘した。
 一方、白書は新型コロナウイルス感染拡大の影響にも言及。テレワーク普及や日常生活のオンライン化などが、今後の社会保障と働き方に大きな影響を与える可能性に触れ、これらの変化に「迅速かつ柔軟に対応していく必要がある」と訴えた。
 厚労白書は、年1回公表されているが、毎月勤労統計の不正問題の影響などで18年版の報告が19年7月にずれ込んだ。このため厚労省は19年版を欠番とし、20年版で過去2年間の取り組みを紹介した。 (時事通信社)

 

10月30日(金)人手不足にコロナ追い打ち 介護事業所の厳しい台所事情
 介護保険サービスの公定価格「介護報酬」を改定するうえでの基礎データとなる介護サービス事業所の「経営実態調査」が30日、まとまった。企業の利益率にあたる収支差率は2019年度、全サービス平均で2.4%と、16年度の前回調査から0.9ポイント減った。 人手不足で人件費が上昇したことが影響したとみられる。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で利用を控える動きも広がっており、事業者側は報酬のプラス改定を求めている。  3年に1度の介護報酬の改定は次が21年4月の予定で、今年の年末に方針が固まる。調査は厚生労働省が5月、無作為に選んだ約3万2千の施設や事業所を対象に実施し、45.2%から回答を得た。前回調査よりも収支差率下がった要因について、厚労省は「人手不足による人件費の高騰」を挙げている。収入に対する給与費の割合は、老人保健施設や訪問介護など多くのサービスで3年前を上回った。
 サービスごとの収支差率をみると、施設では特別養護老人ホームが前回調査と同じ1.6%、有料老人ホームなど「特定施設入居者生活介護」は0.5ポイント増の3%だった。一方、在宅サービスは前回調査より軒並み下がった。訪問介護は2.2ポイント減の2.6%、通所介護は1.7ポイント減の3.2%、短期入所生活介護は1.3ポイント減の2.5%となった。介護計画を作るケアマネジャーの事業所は1.6%の赤字だった。
 厚労省は今回、新型コロナの感染が拡大した4月以降の事業所への影響も別に調査・公表した。
 約3万9千事業所を対象にした調査では、収支について「(流行前と比較して)悪くなった」との回答が5月時点の全サービス平均で47.5%にのぼり、10月時点でも32.7%に達した。5月時点の回答をサービス別にみると、通所リハビリテーションが80.9%、通所介護で72.6%が「悪くなった」と答えており、こうしたサービスで利用控えが広がっていることがうかがえる。
 全事業所を対象にした統計によると、5月にかけて通所系サービスを中心に収入や利用者数の前年比の減少幅が広がったが、6月以降は少しずつ持ち直す傾向だったという。    (朝日新聞社)

 

10月30日(金)ケアマネの介護報酬「超過分減額」見直し 厚労省方針、21年4月改定に絡み
 来年4月の介護報酬改定に絡み、厚生労働省は30日、ケアマネジャーの担当案件が定められた上限を超えると、介護報酬を減額する現行の仕組みを見直す方針を明らかにした。同日あった社会保障審議会の分科会で示された。  
ケアマネジャーが要介護者にケアプランの作成などを行う「居宅介護支援」について見直す。サービスの質の確保のため、現在はケアマネジャー1人当たりのケアプランの作成件数が月40件を超えた分について介護報酬を5割、60件を超えた分については3割に減額している。この基準を変更する方針。業務が増えることで質が低下しないよう、オンライン会議システムの活用や事務職員の配置などを条件にする。    (毎日新聞)

 

10月30日(金)介護の短期入所、コロナで2割減 5月、厚労省調査
 厚生労働省は30日、新型コロナウイルス感染症が介護サービス事業所の経営に及ぼした影響に関する初の調査結果を公表した。

全国に緊急事態宣言が出ていた5月には、事業所当たりの利用者数が短期入所(ショートステイ)で前年同月比20.0%減と大きく落ち込み、事業所に支払われる介護報酬も通所リハビリ(デイケア)で15.4%減少した。
 高齢者が感染を恐れて利用を控えたり、施設側が感染防止のため使用を制限したりしたことが影響した。宣言解除後の6〜8月も短期入所や通所系サービスで減少傾向は続いた。短期入所など介護サービス全般の需要が高まる中、利用者数が大幅に減るのは異例。

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