今月のニュースから

7月01日(水)緊急時に備え高齢者施設の応援体制構築を - 感染者発生事例を踏まえて、厚労省が事務連絡
 厚生労働省は6月30日、高齢者施設での感染者発生事例などを踏まえ、人材確保や感染者発生時の対応についての事務連絡を、都道府県などに出した。緊急時の人材確保策について、平時より講じておくよう都道府県に求めている。
 高齢者施設において感染者等が発生した場合、入院や濃厚接触による自宅待機などで、職員の不足が生じたケースがある。この場合に、都道府県を通じた応援職員の派遣や関係団体、近隣施設からの応援等により対応が行われた。
 これを受けて、2020年度第2次補正予算に計上した「緊急時の応援に係るコーディネート機能の確保等に必要な費用」も活用し、介護保険施設等の関係団体と連携・調整し、緊急時に備えた応援体制を構築するとともに、感染者等が発生した場合の人材確保策を平時より講じるよう、都道府県に求めている。
 事務連絡では、応援可能な職員のリストアップを行うなど、サービス提供者を確保・派遣するスキームを構築している都道府県の例を、別紙「都道府県における取組について」にまとめ、「積極的に活用すること」としている。
 また、感染者発生時等の対応について、感染拡大防止のため、個室管理や生活空間等の区分け等を早期に行うことが有効だが、専門的知識を踏まえた運営やマネジメントを施設単独で行うのは困難であることから、厚労省へのクラスター対策班の派遣要請も含めて、速やかに感染管理認定看護師等の派遣、DMAT 等による搬送調整等の活用を検討し、施設内の感染拡大防止やマネジメント対策に努めることを、都道府県に求めている。
 事務連絡では、「感染者等の退院患者の施設での受入」についても、▽退院基準を満たして退院した者について、感染症の疑いがあるとして入所を断ることは「受入を拒否する正当な理由」には該当しない▽当該退院者の病状等その他の理由により適切なサービスを提供することが困難な場合は、個別に調整を行うこと−などとした。   (医療介護CBニュース)

 

7月01日(水)介護報酬の“コロナ特例”、当面は存続へ 事態収束のめど立たず
 新型コロナウイルスの流行を踏まえた介護サービス事業所の報酬、運営基準などの特例について、厚生労働省は今後しばらく存続させていく方針だ。
 首都圏を中心に感染者が後を絶たず、早期に収束するめどが立たないため。当面のあいだ現場のリスク、負担は低減せず、サービスの利用を控えがちになる高齢者、家族の傾向も大きく変わらないなど、影響が長期化していくと睨んでいる。
  「現時点で特例を終える時期を明言するのは難しい」。 1日、取材に応じた担当者はそう説明した。秋以降に感染の第2波、第3波が襲来すれば、廃止の時期は一段と後ろ倒しになるとみられる。
 そもそも、存廃の判断が個々の保険者に委ねられていく特例も少なくなさそうだ。厚労省はこれまでも、例えば自然災害の被災地の事業所などに幅広く特例を認めてきているが、その“終了宣言”まではしないケースが少なくない。今回も基本的に同様の対応となる可能性が高い。
 一部の特例の明確な恒久化を求める声もある。国の審議会でも現場の関係者が提案しており、来年4月の報酬改定をめぐる論点の1つとなる公算が大きい。改定のタイミングで中身が見直される特例も出てきそうだ。
 コロナ禍を受けた特例は、事業所の感染リスクや経営悪化、人手不足などを考慮したものが中心。厚労省はヘルパー以外の職員でも訪問介護を担えるようにしたり、通所介護が平時より多くの報酬を得られるようにしたりした。サービス担当者会議のオンライン開催を許容するなど、ICTの積極的な活用を促す観点からも複数の措置を講じている。   (介護jointニュース)

 

7月02日(木)高額介護サービス費の年間上限額、今月いっぱいで廃止へ
 利用者の月々の自己負担に上限額を設け、それを超えた分を払い戻す介護保険の「高額介護サービス費」? 。2017年8月の見直しの際に期限付きで設けられた年間の上限額は、今月いっぱいで予定通り廃止されることになる。厚生労働省は1日、そのことを改めて伝える通知を全国の自治体に発出。介護保険最新情報のVol.854で現場の関係者にも周知した。
 高額介護サービス費は、利用者の自己負担が重くなり過ぎてしまうのを避けるための支援策。月々の上限額は個々の経済状況に応じて決められる。医療保険にも同様の仕組み「高額療養費」がある。
 厚労省は2017年8月から、所得区分「一般(*)」の上限額を3万7200円から4万4400円へ引き上げた。国の厳しい財政状況を踏まえた判断だが、負担増を強いられる利用者サイドが不満の声をあげた経緯がある。
* 住民税が課税されている世帯で、“現役並み所得”の層に該当しない世帯
 厚労省は慎重論を受けて、向こう3年間に限った激変緩和措置として年間の上限額をセットで導入。3万7200円の12ヵ月分にあたる44万6400円に設定し、年間トータルの負担額が変わらないようにした。この激変緩和措置がこのたび、2020年7月31日をもって期限を迎え廃止されることになる。   (介護jointニュース)

 

7月03日(金)給付費、過去最高9.6兆円 18年度介護保険報告 厚労省
 厚生労働省は3日、2018年度の介護保険事業状況報告を公表した。
 高齢化を背景に、利用者負担を除いた介護保険給付費は前年度比1.9%増の9兆6266億円となり、過去最高を更新した。
 19年3月末時点での65歳以上の第1号被保険者数は1.1%増の3525万人。内訳は65歳以上75歳未満の前期高齢者が1730万人、75歳以上の後期高齢者が1796万人となり、後期高齢者が初めて前期高齢者の数を上回った。   (時事通信社)

 

7月07日(火)介護倒産、58件で最多を更新 20年上半期、民間まとめ
 全国の介護サービス事業者の倒産件数(負債額1千万円以上)が2020年1〜6月期で58件に上ったことが7日、信用調査会社の東京商工リサーチのまとめで分かった。上半期では19年の55件を上回り、介護保険法が施行された2000年以降で過去最多を更新した。
 慢性的な人手不足の影響で小規模事業者が経営不振に陥ったことや、参入が増えているデイサービスやショートステイなどの通所・短期入所の事業で競争が激しくなっていることが影響した。
 58件のうち、従業員10人未満の事業者が50件に上った。負債総額は61億2千万円で前年同期比44.3%減った。   (共同通信社)

 

7月09日(木)介護職への慰労金、申請の方法は? 重複受給はどう防ぐ? 厚労省が通知
 新型コロナウイルスの流行による影響を踏まえて介護職に支払う慰労金をめぐり、厚生労働省は7日、申請書の統一的な様式を公式サイトからダウンロードできるようにした。
 あわせて申請方法や留意点を解説する通知を掲載。都道府県によってタイミングは異なるが、申請の受け付けは今月から開始される。 個々の職員が事業所に対し、慰労金の代理受領を任せる委任状を出す形とされた。職員はその際に、他の事業所から別に給付申請を行わないこと、複数回受け取ったら速やかに返すことを誓約する決まり。委任状を受けた事業所は「受給職員表」をまとめ、法人単位で都道府県へ申請する。 受給職員表のExcel様式は、職員の氏名や生年月日などが重複して記載されると確認欄に「可」と表示されない設計。「他法人での慰労金申請の有無」という欄も設けられており、ここに「なし」と書き込むルールになっている。 厚労省は通知で、「虚偽や不正があったら慰労金は返還になる」と念を押した。
 事業所は慰労金を支払った後、その日付けと額を受給職員表に明記しておく必要がある。都道府県から求めがあった際に提出できるよう、委任状と受給職員表、支払い記録は適切に保管しておかなければいけない。 厚労省はこのほか、慰労金の対象者で既に退職した職員についても言及。元の勤務先による申請と都道府県への直接申請が可能だとし、いずれの場合も勤務期間の証明を取得するよう要請している。
 この慰労金は、感染リスクが避けられない中で高齢者の生活を支え続けた介護職員らを労うことが目的。感染者が発生した、あるいは濃厚接触者に対応した事業所の職員には20万円が、感染者、濃厚接触者がいない事業所の職員には5万円が支払われる。   (介護jointニュース)

 

7月13日(月)「認知機能の低下」懸念が46% コロナの影響、介護事業所調査
 新型コロナ感染拡大の影響で、介護事業者の46%が、利用する高齢者の「認知機能の低下」を懸念していることが民間団体の調査で分かった。外出自粛が長期にわたり、高齢者の心身状態の悪化を心配する声が広がっている。
 調査は介護施策の研究を行う「人とまちづくり研究所」が5月に実施。全都道府県の約5700事業所の回答を分析した。代表理事の堀田聡子慶応大教授は「外出や人との交流を控えたことが影響したとみられる。調査後、さらに悪化が進んでいる可能性がある」と指摘した。
 利用者の健康状態の悪化や、悪化につながるリスクとして懸念する問題を18項目から5個まで選択してもらった。   (時事通信社)

 

7月15日(水)医療関係・高齢者に優先接種 コロナワクチン、検討着手へ 政府
 政府は新型コロナウイルス感染予防のワクチン開発が本格化したことを踏まえ、ワクチン接種の優先順位を定めた計画の策定作業に週内にも入る。医療関係者や高齢者らを優先させる案が浮上。これを軸に有識者による「新型コロナウイルス感染症対策分科会」(会長・尾身茂地域医療機能推進機構理事長)で議論し、秋までに取りまとめる方針だ。
 新型コロナのワクチンは世界各国で研究開発が加速しており、国内でも先月末に臨床試験(治験)がスタート。実用化の時期は不透明だが、政府は早ければ2021年前半の接種開始を見据えている。
 政府は13年、新型インフルエンザへの対応を念頭に置いた行動計画を策定。新型インフル対策特別措置法に基づく「特定接種」として、
(1)医療従事者
(2)感染症対策などに当たる公務員
(3)介護福祉、電気、ガス、公共交通、銀行などの事業従事者―の順に実施することを基本とした。
 今回の新型コロナについては、強毒性を持つ新型インフルのように社会の存続そのものに重大な影響を及ぼす恐れがあると考えられていない。このため、社会機能の維持を重視して公務員やインフラ事業者らを優先した従来の行動計画と別に、接種に関する計画をつくることにした。
 重心を置いているのは、十分な医療提供体制の確保。政府内では接種の進め方として、医療従事者のほか、感染すれば重症化の可能性が高い高齢者や、基礎疾患を持つ人を優先させる案が有力になっている。
 ワクチン接種に関し、政府は地方自治体の費用負担も想定する。各自治体が今秋の定例議会に関連費用を諮る必要が出てくると判断しており、8月中にも計画を策定できるよう分科会を集中的に開催する考えだ。   (時事通信社)

 

7月18日(土)老老介護、6割に迫る 3世帯に1世帯は75歳以上同士
 厚労省が17日に発表した2019年の国民生活基礎調査では、介護する側とされる側がともに高齢化する「老老介護」が広がり、家族間で介護する世帯の6割に迫っていることが示された。
 7396人が対象(有効回答率85.11%)。同居する家族や親族が自宅で介護する在宅介護のうち、介護する人とされる人がともに65歳以上の割合は過去最高の59.7%。前回16年の調査より5.0ポイント増で、調査開始以来、上昇傾向が続く。75歳以上の老老介護の割合も2.9ポイント増えて過去最高の33.1%。家族が介護するなかでは3世帯に1世帯が75歳以上同士となった。
 主に介護をする人は、同居する家族が54.4%で最も多く、別居の家族などが13.6%、介護サービス事業者が12.1%と続いた。同居する介護者を性別で見ると、65.0%を女性が占めた。   (朝日新聞)

 

7月22日(水)青森県高齢化率 過去最高32.76%/12町村で40%超/今後も加速見込み/県国保連まとめ
 青森県の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は2020年2月1日現在で過去最高の32.76%となり、12町村で40%を超えたことが22日、県国民健康保険団体連合会(県国保連)のまとめで分かった。今別町が53.71%と15年連続で県内最高。40%超の自治体は、昨年までの10町村に新たに三戸(40.66%)と七戸(40.18%)の2町が加わった。県内で唯一、昨年まで2年連続で高齢化率を下げていた西目屋村も今回わずかながら上昇に転じ、全市町村で高齢化が進んだ。 
 青森県の高齢化率は年々上がり続け、今年は前年比で0.69ポイント上昇。県人口が127万4384人で前年より1万6887人減ったのに対し、65歳以上人口は41万7462人と3397人増えた。
 高齢化率30%超の自治体は37市町村で、新たに八戸市(30.28%)が加わった。前年からの増加幅が大きかったのは、深浦町1.48ポイント、大間町1.42ポイント、風間浦村1.32ポイントなど。
 高齢化率20%台は3市町村のみで、三沢市が25.79%と最も低く、六ケ所村が26.65%、おいらせ町が26.77%と続いた。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、青森県の高齢化は今後も加速し、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年に35.8%、35年には39.3%になると見込まれている。県は引き続き介護予防に力を入れ、健康寿命の延伸に取り組むことにしている。   (東奥日報)

 

7月22日(水)【通所介護】看護職の配置基準、見直し検討 厚労省 次の介護報酬改定で
 来年4月に迫る次の介護報酬改定に向けた協議を進めている審議会の20日の会合 ? 。通所介護を俎上に載せた厚生労働省は、看護職員の配置基準の見直しを検討していく意向を示した。
 現行は単位ごとに専従で1以上。サービスの提供時間帯を通じて専従する必要はなく、外部の訪問看護ステーションなどと連携する形も可能だ。 厚労省の担当者は会合で、「看護職員の確保が困難」との声が現場から寄せられていることを紹介。「気になっているところ。配置基準をどう考えるべきか、ご議論を頂ければ」と投げかけた。
 事業者の立場を代表する委員からは、「ICTを活用することなどを条件に配置基準を緩和して欲しい」との要望が出た。厚労省は年内に結論を出す方針。サービスの効率的な運営と質の担保を両立させるべく具体案を詰めていく。 国の昨年度の調査結果によると、病院や診療所、訪問看護ステーションなどと連携して看護職員を確保している通所介護は10.5%。外部と連携している目的をみると、「医療的ケアが必要な人に対応するため」が25.7%で最も多くなっているが、「看護職員を採用・確保することが困難だから」も23.7%と目立っている。   (介護jointニュース)

 

7月27日(月)介護計画に感染、災害対策 厚労省、基本指針に初めて明記

 厚生労働省は27日、市区町村が地域の実情に応じた介護サービスを提供するため3年に1度策定する介護保険事業計画を巡り、国の基本指針を改正し、初めて感染症や災害への対策を盛り込むことを決めた。新型コロナウイルス感染拡大や、7月の豪雨災害で高齢者施設の被害が相次いだことを受け、施設職員の研修やマスク、消毒液などの備蓄を求める。
 この日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で改正内容を説明。2021年度からの自治体の次期計画に反映してもらう。
 災害への備えとしては避難訓練の実施や食料、生活必需品の備蓄の確認を要請する。   (共同通信社)

 

 

7月31日(金)厚労省、介護現場への布マスク配布を中断 希望施設のみに方針転換
 加藤勝信厚生労働相は31日の閣議後会見で、介護現場への布製マスクの追加配布を中断すると正式に表明した。
 今後は配布を希望する施設・事業所のみを対象とし、余った分は国として備蓄する。多くの批判を受けて方針を転換した格好だ。
 加藤厚労相は、「春先と比べて市場の供給量が変わった。介護現場の要望も踏まえて対処した」と説明。「今後とも必要なマスクが行き渡るよう、市場の動向、感染の動向を踏まえて適切に施策を講じていく」と述べた。 厚労省は新型コロナウイルスの影響を踏まえ、介護現場への布製マスクの配布を3月から開始。既に約6000万枚を発送し、今月末から更に約8000万枚を配布する計画だった。
 合計約1.4億枚の調達にかかった経費は216億円。「布製マスクはもういらない」「税金の無駄遣い」との声が各方面からあがり、風当たりがかなり強まっていた。 厚労省は8月5日から、布製マスクの追加配布を希望する施設・事業所の募集を開始する予定。近く申請用のメールアドレス、電話番号を公式サイトで公表する。 介護だけでなく障害福祉や子どもなどの分野も対象。配布される枚数は、利用者と職員それぞれ1人4枚程度が目安となる。申請してから受け取れるまで、概ね3週間ほどかかると見込まれている。
 厚労省の担当者は配布希望の募集期間について、「今のところ未定。申請状況などをみながら判断したい」と話す。「申請は原則メールとするが電話でも可能。1施設・事業所あたり1回限りとしたい」との考えを示している。   (介護jointニュース)

 

7月31日(金)検査陰性を介護施設の新規入所の条件に 「介護が崩壊すれば医療も崩壊する」 都医師会
 東京都医師会は30日、短期、長期を問わず介護施設へ新たに入所する高齢者には新型コロナウイルスのPCR検査を必ず受けてもらい、陰性を利用開始の条件にしてはどうかと提言した。
 平川博之副会長は会見で、「介護施設は籠城している状態。ひとたび決壊すれば感染は一気に広がる」と必要性を説明した。高齢者は重症化するリスクが特に高いことを念頭に、「介護が崩壊すれば間違いなく医療も崩壊する」と指摘。対策を抜本的に強化するよう訴えた。
 あわせて、実際にクラスターなどが発生した際に派遣される専門家チームの強化も要請。「東京では今はうまく機能しているが、今後は介護施設で同時多発的に感染者が増える恐れがある。そうなるとチーム数が全く足りない」と問題を提起した。
 東京都医師会はこのほか、入所者が感染したら即入院という原則が守られる環境を整備すること、応援職員を迅速に派遣できる体制を地域ごとに作ることも欠かせないと主張。尾崎治夫会長はこれらの施策について、「東京だけでなく多くの地域で求められると思う。国できちっと対策を練るべき問題だ」と述べた。   (介護jointニュース)

トップへ戻る