認知症にやさしいまち
認知症を予防するための10の方法
生活スタイルを改善することで、認知機能低下のリスクを軽減できることを示した研究は増えている。いくつものポイントを組み合わせることで、脳と体に多くの利益をもたらすことができる。生活改善の取り組みのが遅すぎたり早すぎたりすることはない。
アルツハイマー協会(Alzheimer’s Association)は、認知症リスクのある人々の記憶・思考スキルを守るために、生活スタイルを複合的に改善する10項目の方法を公表している。
@健康的な食事
野菜や果物を十分に摂り動物性脂肪を控えめにした栄養バランスの良い食事は、認知機能低下のリスクを減らすために役立つ。食事と認知機能についての研究は始まったばかりだが、地中海ダイエットやDASHダイエット(高血圧に対策するための食事療法)などが、認知症リスクを減らすのに有用という研究が報告されている。
A適度な運動
運動は心拍数を上げ、心血管運動を高め、脳と体への血流を増加させる。運動は糖尿病や高血圧、脂質異常症、骨粗鬆症などの予防・改善に良いだけでなく、認知症予防の観点からも勧められる。
B高血圧や糖尿病を治療する
肥満、高血圧、糖尿病などは、心血管疾患と脳卒中の危険因子となるだけでなく、脳の健康にも悪影響をもたらす。これちらの疾患の治療をしっかとり続けることが重要となる。
C禁煙する
喫煙が認知機能低下のリスクを高めることを示した研究は多い。禁煙すれば、認知症リスクを喫煙しない人と同等に減少できる。
D睡眠をチェック
不眠症や睡眠時無呼吸症候群などが原因で十分な睡眠を得られないと、記憶や思考に問題が生じる可能性がある。睡眠障害がある場合はきちんと治療をしよう。
Eメンタルヘルスを大切に
うつ病の既往と認知機能低下は関連しているという報告がある。うつ病や不安症などて精神的健康に問題がある場合は治療を受けよう。ストレスを十分にコントロールしよう。
F社会的な交流も効果的
社会的な交流を保つことで、脳の健康を維持できる可能性がある。社会活動や地域活動に積極的に参加したり、友人や家族との交わりをつくることは、メンタル面にも良い影響をもたらす。
G知的な刺激を得る
ワクワクするような知的な趣味は、あなたの脳に短期的・長期的な利益をもたらすかもしれない。ガーデニングをする、家具を作る、アートを鑑賞する、ジグソーパズルに挑戦するなど、なんでも良いので楽しめることに取り組もう。
H学習する機会を見逃さない
人生のあらゆる局面で教育は、認知機能低下と認知症のリスクを減らすのに役立つ。地元のコミュニティセンター、教育機関、インターネットのオンライン学習などの機会を見逃さないようにしよう。
I交通事故に注意
交通事故による脳損傷は、認知機能低下と認知症のリスクを高める可能性がある。運転するときはシートベルトを着用し、バイクや自転車に乗るときはヘルメットを着用し、転倒を防ぐための措置をしよう。
「アルツハイマー病に対する効果が証明された治療法はみつかっていません。しかし、健康的な生活習慣を組合せることで、脳の健康を促進し、認知機能の低下を軽減できることが明らかになりつつあります」と、アルツハイマー病協会理事長のマリア カリーヨ氏は言う。
「AAICで報告された研究は、実行可能で実用的な提案を含んでおり、すべての人がより健康的な生活をおくるために役立ちます」。
生活スタイル介入を通じて、脳の健康を維持し、認知症リスクを低下するために行われている米研究「U.S. POINTER」では、全米の5ヵ所で行われており、2023年には最初の結果が出る予定だ。
米国在住者を対象としたこの研究は、身体活動、栄養カウンセリングによる支援、認知的・社会的な刺激、自己管理による健康の改善などの複合的な介入により、認知症を予防できるかを調べるはじめての大規模研究だ。