IPアドレス
IPアドレス(Internet Protocol Address)
とは、インターネット上に接続された機器が持つナンバーのことです。データをやり取りする際、ネットワーク上で通信相手を間違わないようにするために使われます。
IPアドレスの基礎知識
ネットワーク部とホスト部
IPアドレスは数字の羅列です。現状普及しているIPv4というバージョンでは、32ビット(桁)の2進数ですが、そのままではわかりづらいため、8ビット毎に「.(ドット)」で区切り10進数表記で表します。それぞれの値は0〜255まであります。
具体的には、下図のようにネットワーク部とホスト部から構成されています。なお、ネットワーク部とホスト部の境界線は、IPアドレスによって異なっています。
ネットワーク部とホスト部
ネットワーク部というのは、どのネットワークに所属しているかを示す部分です。
一方ホスト部とは、上記のネットワーク部の中でのホスト(コンピューター端末)を指しています。
クラスフルアドレス
ネットワーク部とホスト部の境界線はIPアドレスによって異なると述べました。この区別方法については、2種類の方法があります。クラスフルアドレスと、クラスレスアドレスです。
クラスフルアドレスでは、クラスAからクラスEまで5つのクラスがありますが、通常使用しているのはクラスAからクラスCまでです。
クラスフルアドレスでは、先頭ビット列か10進法の数字をみればクラスが識別できるようになっています。そしてクラスが識別できれば、ネットワーク部とホスト部の区切りがわかります。
例えば、クラスAでは、ネットワーク部が8ビット、ホスト部が24ビットのIPアドレスです。使用できるネットワークは126個しかありませんが、それぞれのネットワークに接続できるホストは約1700万個になります。
クラスCでは、ネットワーク部が24ビットなので、ネットワークの数は約209万個割り当てられますが、それぞれのネットワークには254個しかホストを割り当てられません。
クラスレスアドレス
ところが、運用が進むにつれてIPアドレスが無駄に消費されることがわかったため、現在では、サブネットマスクという数字が一般化しています。
サブネットマスクとは、ネットワーク部とホスト部を区別するための数値のことです。
クラスレスアドレスとは、クラスに割り当てられたサブネットマスクを変更することにより、1つのクラスをいくつかのセグメントに分割してアドレスを使用出来るようにするものです。
このサブネットマスクにより、ネットワーク部とホスト部の従来の境界がなくなり、自由に決めることができるようになりました。
前述したように、私たちがふだん目にする数字は、10進法で示されていますが、もともとは1と0の組み合わせの2進法によって表記されています。
そこで、2進法のIPアドレスとサブネットマスクを並べてみて、以下のように区分しています。
ここまでみてきたように、IPアドレスがあるおかげでホスト間の通信が可能になりますが、単なる数字の羅列のため、日常生活では不自然で使いづらく覚えるのも困難です。
そこでドメイン名が登場します。簡単に言えば、ユーザーが覚えやすい名前(文字)のことです。
このドメイン名とIPアドレスが紐付けられていなければ、リンク切れを起こしたりメールの送受信ができなかったりします。そこで、IPアドレスとドメイン名の関連付けが必要になります。
IPアドレスとドメイン名を関連させる役割は、DNSサーバーとよばれるサーバーが担っています。分散しているデータベースともいえます。
IPアドレスの種類
次に、用途別にIPアドレスを分類します。この場合、用途とは以下の二点です。
インターネットに接続するタイプ(グローバルIPアドレス)
インターネットに接続しないタイプ(プライベートIPアドレス)
IPアドレスの種類
グローバルIPアドレスとは、インターネットに接続するタイプのIPアドレスです。さらに、動的IPアドレス、静的IPアドレス(固定IPアドレス)の二つに分かれます。一つひとつ説明していきます。
動的IPアドレス
IPアドレスが変動する場合、動的IPアドレスに分類されます。一般的な事例として、家庭でインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)に接続する場合がわかりやすいと思います。
最近では、ISPに最初に接続する場合に、特別な設定が不要です。それは、ネットワーク機器にLANケーブルをつなげて、インターネットに接続すると、自動的にグローバルIPアドレスがISPより割り当てられるからです。
別の言い方をすると、ISPが自動探知してくれるのです。このことから、一定時間が経過したり、インターネットに接続し直すたびに、別のグローバルIPアドレスが割り当てられます。
静的IPアドレス
一方、静的IPアドレス(固定IPアドレス)とは、言葉の通り変動しないIPアドレスです。では、どのような利用場面が想定されるでしょうか。一言で言えば、接続のたびにコロコロ変わって欲しくない場合に、導入が必須となっています。
例えば、ホームページの公開サーバーや、メールの送受信のためのメールサーバーの場合です。
ここで、上記でお話ししたDNSサーバーが関連してきます。DNSサーバーとは、IPアドレスとドメイン名を結びつけるデータベースでした。
もし、WebサーバーやメールサーバーのIPアドレスがどんどん変わってしまうと、DNSサーバーでの関連作業ができなくなります。
つまり、ドメイン名でこれらのサーバーにアクセスされるときに、対応するIPアドレスが変動しないよう、IPアドレスは静的(固定)でなければなりません。
厳密には、全てのWebサーバーやメールサーバーが静的(固定)のIPアドレスを所有している訳ではありません。テクニックにより、この問題を回避することが可能だからです。
プライベートIPアドレス
家庭内での、インターネットからは独立したネットワークを例としてご説明します。
具体的には、ブロードバンドルーターの外側がインターネットの世界で、内側が家庭内の独立したネットワークを考えてみます。
このとき、家庭内のネットワークにあるパソコンなどに付与されているIPアドレスが、プライベートIPアドレスです。
プライベートIPアドレスは、直接グローバルIPアドレスとやりとりすることができません。
そこで、ブロードバンドルーターのNAT(Network Address Translation)という機能が必要となります。
NATとは、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する機能です。
企業内のLANネットワークで、クライアントPCがインターネットに接続する場合も、グローバルIPアドレスに変換(NAT)をしています。
自分のIPアドレスを確認するには?
ご自分のIPアドレスはどうなっているでしょうか?ここでは、典型的な確認方法をご紹介します。
グローバルIPアドレスの場合
こちらはWebサービスにアクセスするだけで、簡単に確認することができます。
プライベートIPアドレスの場合
家庭内のネットワークで、例えばWindowsパソコンを利用している場合にて説明します。
操作はコマンドプロンプト画面を使用します。コマンドプロンプト画面を表示するには、スタート → アクセサリー → コマンドプロンプト の順番に操作してください。(Windows7の場合)
次にこの画面で、「ipconfig」 というコマンドを入力し、「Enter」キーを押してください。ネットワーク接続に関する情報が表示されますので、「IPv4」の箇所を確認してください。こちらが現在使用しているパソコンのプライベートIPアドレスになります。
IPアドレスが割り当てられるしくみ
ここでは、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスとに分けて、一般的な管理方法をお話しします。
グローバルIPアドレスの管理
IPアドレスの管理
ICANNと呼ばれる最上位の国際的な機関が、大元になってまとめています。組織構造は階層的になっています。
そして、さらに下位の組織が、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)等を統括しています。それぞれのISPには、グローバルIPアドレスがまとまって割り振られています。
個々の利用者が、インターネット接続のためにブロードバンドルーターを使用すると、ISPからは自動的に、一つのグローバルIPアドレスが提供されます。
プライベートIPアドレスの管理
家庭内で、パソコンなどの端末をブロードバンドルーターに接続すると、端末には自動的にプライベートIPアドレスが与えられます。
この実現のためには、DHCPというサーバーが活躍しています。ほとんどの場合にはブロードバンドルーターなどに内蔵されていますので、特別に用意する必要はありません。
このDHCPサーバーのおかげで、ネットワーク接続している他の端末と重複しないプライベートIPアドレスが自動的に付与されるようになっています。ここでも、人の手の管理は不要です。
「IPアドレスをコンピュータに自動割り当てする仕組み」が「DHCP(ディーエィチシーピー)」です。
「Dynamic Host Configuration Protocol(ダイナミック・ホスト・コンフィギュレーション・プロトコル)」の略で「DHCP」です。
このようなIPアドレスを自動割り当てする仕組みがDHCPです。